2024年1月に読んだ本

冬季うつ気味で元気がない。

 

なんとか気持ちを持ち上げてはまた寝込んだり。

だましだまし、春を待つ。

 

さてようやく読書ノートをつけてみる。

 

1.座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」 出口治明

 

 

いきなりゴリゴリのビジネス書の匂いがすごい。

違うんです、私はリーダーから1番遠くの席に座ってる人間なんです。

じゃあなぜ読んだかというと、元々出口先生の本を何冊か読んでおり、Amazonに「これセール中ですよ」とおすすめされたから。

気になってサンプルをkindleにダウンロードして試し読みをして、冒頭からがっしりと心を掴まれた。

帯にはでかでかと「帝王学」と書かれているけれど、リーダーだけでなく上司を持つ全ての社会人の為になる本だった。

特に心に響いたのは第1章のタイトルになっている

 

リーダーは「器」を大きくしようとせずに、中身を捨てなさい

(座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」より引用)

 

これも「リーダー」という言葉がそのまま「すべての人」に置き換えられる。

私はこだわりが強く、それゆえに「自分の感性に合わないかも」なんて理由で手に取った本を棚に戻してしまう人間だ。

ちっぽけなこだわり、浅はかな正義感、外界への偏見や恐れ。

色んなものがお猪口みたいな小さな器にぎゅうぎゅうに詰め込まれている。

良いものも悪いものも、自分のアイデンティティと思えるものをすべてパッと捨ててしまったら、どんなにすっきりするだろう。

そしてそんな自分はどんなに新しいだろう。

読みながらそんなことを思った。

 

 

2.霧のむこうに住みたい 須賀敦子

 

 

1冊目と随分と趣向が違う気がするが、須賀敦子さんを読むようになったきっかけは、出口先生の本で紹介されていたから。

須賀さんの話にはとにかく沢山の「友人」が出てくる。

友人の友人の家に招かれる、友人の紹介でひと夏をロンドンで過ごす、友人夫婦と天気の悪いミラノから太陽を追いかけてプロヴァンスに行く。いつもにぎにぎと人がいる。

けれどその語り口はヴェールを一枚かけたように静かだ。

須賀さんの言葉を借りて透かし見るイタリアは温かくて少し哀しい。

そんな柔らかい郷愁に浸りたくて、また彼女の本を手に取っている。

 

3.道草 夏目漱石

 

 

この本を語る前に読むきっかけとなった本がこちら

 

去年読んだ本で、こちらの感想もいずれ書きたい。

河合先生が実際の症例の代わりに文学作品の中から中年の問題について語った一冊。

「道草」はその最後の章で取り上げられている。

私はこの解説を読んでから「道草」を読んだので、感想は大いにその影響を受けている。

 

そして断っておきたいのが、これが私の初夏目漱石作品である。

己の無学を恥じると共に、1冊目から激渋チョイスなのでは・・?と思わざるを得ない。

この話は夏目漱石の自伝的な小説らしい。

河合先生の心理学的な視点から読んでしまったゆえの感想だが、これは色んな人の視点を借りた壮大な自傷行為では・・?てくらい主人公への当たりが強い。なんかもう辛い。こちらまで胃に穴があきそうです。

奥さんとの関係のぎこちなさは、夫婦関係のみならず親子、兄弟、上司と部下、あらゆる人間関係の不和を詳らかに描いていてとても苦しい。

人生の、できれば一生関わりたくないような出来事の、暗く地味な物語だ。

「道草」というタイトルの秀逸さに、きっとこの後の人生で何度でも唸ると思う。

 

ということで1月は3冊。