遅読の人

子どもの頃から本屋や図書館が好きだ。

小説の棚をあ行から順に追っていって、気になる本は手に取って装丁や中身を眺め、そして棚に戻す。

読まないのだ。

読書数は子どもの頃から年に十冊前後ではなかろうか。

インターネットに親しんでからは、ネットで読む活字の方がずっと多い。

小説に関わらず、アニメでも漫画でも映画でも、物語の入り口で立ち尽くしていることの多い人生だ。

しかし去年から少しずつ、人生も折り返しというところで、本を読む楽しさに目覚め始めた。

 

きっかけは何だっただろう。毎年ちょっとでも本を読もうと年初めに目標を立てるのだけど、あまりにも読まないので図書館で借りずにその場で読む習慣を始めてみた。

本を読む場所に無理やり縛り付けてようやく本を開く体たらくだ。

それでも少しずつ、仕事終わりに1時間10ページという亀の歩みで読書が日常に根付き始めた。

そうするとSNSを見てるよりずっと面白い。

もう15年ほどSNSにどっぷりな生活を送っていたが、最近どうにも思うところがありすぎて嫌気が差していた。

一周回って読書という原初に立ち返った。妙に新鮮な心地がした。

 

楽しんではいるものの、読むのがとにかく遅い。

これは随分コンプレックスだったけれど、心理学者の河合隼雄先生の「対話する人間」という本の中で、ご自身が本を読むのが遅い話をされていたことに救われて、今はマイペースに読むようにしている。

 

 

 

ブログのタイトルの通り、沢山本を読めるわけではないが、そんな人間でも読書は楽しい。

読書記録と、他にも思いつくことがあれば書いていこうと思う。